草津市「ロトス」| 2013年10月号掲載

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「振り飛車」一本で滋賀県最強!

湖南農業高等学校 将棋部

湖南農業高校将棋部は、過去に男子団体戦全国2位の成績を残し、
全国大会出場歴も通算20回を誇る滋賀県屈指の強豪校だ。
今年も男女ともに団体戦は県大会を制し、全国大会出場を果たした。
今号は湖南農業高校の強さの秘密に迫る。

■顧問の先生から受け継ぐ
伝統の振り飛車戦法
 湖南農業高校将棋部は、1981年、学校創立と同時に創部。男子団体戦は県大会で20回優勝しており、今年は男女ともに全国大会出場を果たした。特に今年の女子は、団体戦で全国ランキング12位。近畿大会でも優勝を期待される強豪校だ。<br /> 指導するのは、創部から33年間、部を指導している細川努先生。ねんりんピック(高齢者を中心とする全国健康福祉祭)の将棋大会で全国2位、滋賀名人、滋賀王将、琵琶湖王将などの棋歴を誇る、アマチュア5段の棋士である。「初心者も多くいるので、最初はコマの動かし方や定跡、詰めの手順を教えます。その後は私が最も得意な戦法を伝えています」と細川先生。部員たちは細川先生の指導により、「振り飛車」で勝つテクニックを学んでいるのだ。しかし、細川先生の指導だけで大会を勝ち抜けられるほど甘くはない。<br /> 練習は毎日休みなく行われ、土日は8時間みっちりと将棋漬けの一日を過ごす。一日に30〜40局こなす日もあるそうだ。黙々と盤上のコマを動かし続ける部員たち。「パチン」とコマを指す音だけが部室に響く。「マナー違反ですが、私は練習中に音楽を聴いても良いと思っています。リラックスすることも必要ですからね」と細川先生は話すが、イヤホンをしている部員は一人もいない。集中力を保つため、ひたすら盤上に意識を傾ける。<br /> 「運動部と違い、体を動かさないので、将棋部は楽に思われるかもしれません。しかし、常に先を読み、自分のコマの動きを判断し続けなければいけない。体の代わりに頭を酷使する部活動です」と細川先生。厳しさから新入部員の3分の2は退部してしまうそうだ。しかし、残った部員は濃密な練習を積み重ねる。「将棋が好き」「強豪校としての伝統を守りたい」そんな強い思いが、厳しい練習に耐え、勝敗を左右する集中力を身に着けさせるのだ。「継続は力なり。コマに触れられるのがうれしくてしょうがないと思えるようにならないと」と細川先生はいう。<br /> 部員を指導するのは細川先生だけではない。細川先生からその強さを学んできた上級生も、己を磨きながら、後輩たちにアドバイスを送り、育てている。「将棋部をつくり、ずっと見守り続けた先生はもちろん、結果を残し続けてきた先輩方も尊敬しています」と三品君は話す。<br /> 湖南農業高校将棋部は、11月16、17日に行われる近畿高等学校総合文化祭将棋部門へ出場する。目標はもちろん、優勝。この大会を最後に引退する三品君は「全勝する。部員はその意気で試合に臨みます」と闘志を燃やす。細川先生から教わったもの、先輩から後輩へ受け継いだものを集約して挑むこの大会で、部員たちは自分たちが指してきた中で最高の棋譜を残すだろう。その棋譜は400年経ても残ったもののように、湖南農業高校将棋部の歴史に刻まれ、次世代へと受け継がれていく。<br>文・写真/野村亮輔

将棋部員は男子11人、女子4人。厳しい練習に耐えた精鋭だ

 縦横9マスずつに区切られた将棋盤と、それぞれに動きの決まった8種類のコマを使って2人で対局するボードゲーム、将棋。その戦法の二大分類の一つに、「振り飛車」がある。文字通り、「飛車」コマを定位置から「角行」コマがある左に振る(移動させる)戦法だ。全国大会の常連校として知られる湖南農業高校将棋部は、その「振り飛車」を好んで使う。もう一つの戦法である「居飛車」を使う人や、対戦相手によって、どちらを使うか選ぶオールラウンダーがいてもいいだろう。しかし、湖南農業高校将棋部の部員15人に好きな戦法を尋ねると、全員が「振り飛車」から派生した戦法を答えていた。
 振り飛車戦法の一種である「中飛車」が好きと答えたのは、2年生の丸山愛美さん。湖南農業高校将棋部の卒業生である兄と姉を追うように入部したという。「姉が用いていた戦法を見よう見まねで覚えました」。「振り飛車」と「居飛車」、両方を使った方が戦術の幅は広がる。しかし、湖南農業高校は卒業生も含めて代々「振り飛車」一本で勝利を手にしている。
 その理由について、部長の三品拓郎君は「最初に顧問の先生が教えてくれた戦法だから」と答えた。最初に「振り飛車」の一種である「四間飛車」を教えられ、最も好きな戦法になったという。「四間飛車」は、現存する最古の棋譜にも登場する歴史ある戦法。1607年、駿河で対局した大橋宗桂と本因坊算砂は、ともに「四間飛車」を用いたという。攻守のバランスが優れ、自由度が高い「四間飛車」は、対策されても進化し、400年経った現在も多くの人に愛される戦法だ。
■指した局数と時間が
部員をより強くする
 湖南農業高校将棋部は、1981年、学校創立と同時に創部。男子団体戦は県大会で20回優勝しており、今年は男女ともに全国大会出場を果たした。特に今年の女子は、団体戦で全国ランキング12位。近畿大会でも優勝を期待される強豪校だ。<br /> 指導するのは、創部から33年間、部を指導している細川努先生。ねんりんピック(高齢者を中心とする全国健康福祉祭)の将棋大会で全国2位、滋賀名人、滋賀王将、琵琶湖王将などの棋歴を誇る、アマチュア5段の棋士である。「初心者も多くいるので、最初はコマの動かし方や定跡、詰めの手順を教えます。その後は私が最も得意な戦法を伝えています」と細川先生。部員たちは細川先生の指導により、「振り飛車」で勝つテクニックを学んでいるのだ。しかし、細川先生の指導だけで大会を勝ち抜けられるほど甘くはない。<br /> 練習は毎日休みなく行われ、土日は8時間みっちりと将棋漬けの一日を過ごす。一日に30〜40局こなす日もあるそうだ。黙々と盤上のコマを動かし続ける部員たち。「パチン」とコマを指す音だけが部室に響く。「マナー違反ですが、私は練習中に音楽を聴いても良いと思っています。リラックスすることも必要ですからね」と細川先生は話すが、イヤホンをしている部員は一人もいない。集中力を保つため、ひたすら盤上に意識を傾ける。<br /> 「運動部と違い、体を動かさないので、将棋部は楽に思われるかもしれません。しかし、常に先を読み、自分のコマの動きを判断し続けなければいけない。体の代わりに頭を酷使する部活動です」と細川先生。厳しさから新入部員の3分の2は退部してしまうそうだ。しかし、残った部員は濃密な練習を積み重ねる。「将棋が好き」「強豪校としての伝統を守りたい」そんな強い思いが、厳しい練習に耐え、勝敗を左右する集中力を身に着けさせるのだ。「継続は力なり。コマに触れられるのがうれしくてしょうがないと思えるようにならないと」と細川先生はいう。<br /> 部員を指導するのは細川先生だけではない。細川先生からその強さを学んできた上級生も、己を磨きながら、後輩たちにアドバイスを送り、育てている。「将棋部をつくり、ずっと見守り続けた先生はもちろん、結果を残し続けてきた先輩方も尊敬しています」と三品君は話す。<br /> 湖南農業高校将棋部は、11月16、17日に行われる近畿高等学校総合文化祭将棋部門へ出場する。目標はもちろん、優勝。この大会を最後に引退する三品君は「全勝する。部員はその意気で試合に臨みます」と闘志を燃やす。細川先生から教わったもの、先輩から後輩へ受け継いだものを集約して挑むこの大会で、部員たちは自分たちが指してきた中で最高の棋譜を残すだろう。その棋譜は400年経ても残ったもののように、湖南農業高校将棋部の歴史に刻まれ、次世代へと受け継がれていく。<br>文・写真/野村亮輔

部室では皆黙々と将棋を指し続ける。養われた集中力が勝敗を左右する

 湖南農業高校将棋部は、1981年、学校創立と同時に創部。男子団体戦は県大会で20回優勝しており、今年は男女ともに全国大会出場を果たした。特に今年の女子は、団体戦で全国ランキング12位。近畿大会でも優勝を期待される強豪校だ。
 指導するのは、創部から33年間、部を指導している細川努先生。ねんりんピック(高齢者を中心とする全国健康福祉祭)の将棋大会で全国2位、滋賀名人、滋賀王将、琵琶湖王将などの棋歴を誇る、アマチュア5段の棋士である。「初心者も多くいるので、最初はコマの動かし方や定跡、詰めの手順を教えます。その後は私が最も得意な戦法を伝えています」と細川先生。部員たちは細川先生の指導により、「振り飛車」で勝つテクニックを学んでいるのだ。しかし、細川先生の指導だけで大会を勝ち抜けられるほど甘くはない。
 練習は毎日休みなく行われ、土日は8時間みっちりと将棋漬けの一日を過ごす。一日に30〜40局こなす日もあるそうだ。黙々と盤上のコマを動かし続ける部員たち。「パチン」とコマを指す音だけが部室に響く。「マナー違反ですが、私は練習中に音楽を聴いても良いと思っています。リラックスすることも必要ですからね」と細川先生は話すが、イヤホンをしている部員は一人もいない。集中力を保つため、ひたすら盤上に意識を傾ける。
 「運動部と違い、体を動かさないので、将棋部は楽に思われるかもしれません。しかし、常に先を読み、自分のコマの動きを判断し続けなければいけない。体の代わりに頭を酷使する部活動です」と細川先生。厳しさから新入部員の3分の2は退部してしまうそうだ。しかし、残った部員は濃密な練習を積み重ねる。「将棋が好き」「強豪校としての伝統を守りたい」そんな強い思いが、厳しい練習に耐え、勝敗を左右する集中力を身に着けさせるのだ。「継続は力なり。コマに触れられるのがうれしくてしょうがないと思えるようにならないと」と細川先生はいう。
 部員を指導するのは細川先生だけではない。細川先生からその強さを学んできた上級生も、己を磨きながら、後輩たちにアドバイスを送り、育てている。「将棋部をつくり、ずっと見守り続けた先生はもちろん、結果を残し続けてきた先輩方も尊敬しています」と三品君は話す。
 湖南農業高校将棋部は、11月16、17日に行われる近畿高等学校総合文化祭将棋部門へ出場する。目標はもちろん、優勝。この大会を最後に引退する三品君は「全勝する。部員はその意気で試合に臨みます」と闘志を燃やす。細川先生から教わったもの、先輩から後輩へ受け継いだものを集約して挑むこの大会で、部員たちは自分たちが指してきた中で最高の棋譜を残すだろう。その棋譜は400年経ても残ったもののように、湖南農業高校将棋部の歴史に刻まれ、次世代へと受け継がれていく。
文・写真/野村亮輔

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