敦賀市・三方郡美浜町・三方上中郡若狭町・上中町・小浜市・おおい町・高浜町「きらめき俱楽部®」| 2013年11月号掲載

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海風が育んだ、酸味と甘み

敦賀の隠れた名産品 東浦みかん

敦賀の特産といえば、やはり海産物に注目が集まります。
では、もう一つの名産品、みかんを知っていますか。
その栽培は、100年以上も前から始まったといわれ、長い歴史があります。
栽培のルーツを探るとともに、観光農園を手がける下野寿栄子さんの思いもお伝えします。

■戸後期にはじまった栽培
ロシアへの輸出も
 現在、東浦にある8戸のみかん農家は、全てが観光農園。元比田の下野寿栄子さんのみかん農園は、代々続く老舗で、観光農園を始めたのは昭和46年からです。<br /> みかんの栽培は秋の収穫期に向け、前年の冬から準備が始まります。収穫期を終えてまず行うのは、「お礼肥え」と呼ばれる作業。果樹の樹勢を回復させるために肥料をたっぷり与えます。雪が降れば枝葉に積もった雪を竿で払い、春の足音が近くなると、古い枝を剪定し、花芽を摘み取ります。新緑がまぶしい季節には、草を刈り、再び肥料を与えます。いよいよ実が大きくなり始める晩夏には、陽光が当たる枝に実ったみかんにガムテープを貼付。強い日差しから表皮を守ります。1年を通して、常に作物に気を配る下野さん。これらの作業をひとりで行っているというから驚きです。<br />「収穫期は1年に一度だけ。その時期を楽しみにしているのは、みかん狩りに来る皆さんです。私は、この農園にやってきてみかん狩りを楽しむ皆さんの笑顔が楽しみで仕方がないんですよ。笑顔が見たいから1年頑張って世話を続けられるんです」と下野さんは笑顔をみせます。<br /> 来園者の笑顔を原動力に頑張ってきた下野さんは、今年で80歳。農園のすぐ目の前にある住まいは、築230年という歴史ある屋敷です。来園者がみかん狩りの休憩スポットとして活用できるよう、住まいを改築。大きな土間には囲炉裏が配され、頭上には太い梁が走っています。「みかん狩りだけでなく、古き良き日本家屋の趣も楽しめる」と来園者からは好評。バリアフリーにも対応しており、車いすの人や小さな子ども、年配者も安心して利用できます。<br />「誰でも楽しめる農園でありたいんです。ここを気に入ってくださり、次の年もまたやって来る方がたくさんいらっしゃいます」と下野さん。弁当を持参して、1日中みかん狩りを楽しむ人もいるそうです。<br /> 農園は、小中学生の体験授業の場として活用されることが多く、みかん狩りを楽しんだ生徒たちが手紙をくれることも。「ありがたいことです。励みになりますね」と、大切に残してある手紙と写真を見つめて、下野さんは満面の笑みを浮かべました。<br /> 東浦一帯のみかん農園では、毎年10月中旬から11月上旬までがベストシーズン。今年の秋の行楽は、歴史ある東浦みかんを食べに出かけるプランはいかがでしょうか。<br /><br />文/和佐田真 写真/新井のぞみ

みかんは、ただ甘いだけでなく、ほどよい酸味があり、絶妙に味のバランスが取れているのが特徴です。その秘密は、敦賀湾から吹き込む海風にあり

 敦賀市中心部から車で北へ約20分。海沿いの東浦地区には、みかん農園がいくつも広がります。この辺りは、おいしいみかんが育つ北限地といわれており、江戸後期から栽培が行われてきたのです。
 東浦でのみかん栽培を提唱したのは、敦賀の阿曽で生まれた金井源兵衛さん。かつて東浦の人々は、稲作や野菜づくりで生計を立てていました。しかし、幾度も水害が発生。農作物に被害をおよぼしてきました。そこで、金井さんは米や野菜だけでなく、ほかの作物をつくって特産品とし、生活を守っていく必要があると考えたのです。
 金井さんは、東浦の気候や土質がみかんを育てるのに適していると知り、すでにみかん栽培が行われていた関西方面に出向いて、苗木を購入。東浦に住む親族や知人に無料で苗木を配り、栽培を推奨したのです。やがてみかんづくりが盛んになり、明治時代には、旧ソ連(現ロシア)のウラジオストクへ輸出されるほど軌道に乗りました。次第に輸出量が増加。収穫期には臨時で人を雇い、作業に追われていたそうです。
 昭和40年頃になると、これまで栽培していたみかんを早生に変える動きが九州や四国、和歌山のみかん農家で見られるようになりました。生育期間が短い早生は、他の品種とくらべ早期の収穫が可能。東浦でも早生に切り替え、昭和45年には敦賀みかん生産組合を設立しました。
「海沿いの美しい景色を見ながらおいしいみかんを食べてもらおう」との思いから、組合員は、観光農園をスタート。組合と観光農園の立ち上げにより、各農家では味をより追求するようになり、甘さと酸味のバランスのよいみかんがたくさんつくられるようになったのです。
■みかんと二人三脚の日々
来園者の笑顔を支えに
 現在、東浦にある8戸のみかん農家は、全てが観光農園。元比田の下野寿栄子さんのみかん農園は、代々続く老舗で、観光農園を始めたのは昭和46年からです。<br /> みかんの栽培は秋の収穫期に向け、前年の冬から準備が始まります。収穫期を終えてまず行うのは、「お礼肥え」と呼ばれる作業。果樹の樹勢を回復させるために肥料をたっぷり与えます。雪が降れば枝葉に積もった雪を竿で払い、春の足音が近くなると、古い枝を剪定し、花芽を摘み取ります。新緑がまぶしい季節には、草を刈り、再び肥料を与えます。いよいよ実が大きくなり始める晩夏には、陽光が当たる枝に実ったみかんにガムテープを貼付。強い日差しから表皮を守ります。1年を通して、常に作物に気を配る下野さん。これらの作業をひとりで行っているというから驚きです。<br />「収穫期は1年に一度だけ。その時期を楽しみにしているのは、みかん狩りに来る皆さんです。私は、この農園にやってきてみかん狩りを楽しむ皆さんの笑顔が楽しみで仕方がないんですよ。笑顔が見たいから1年頑張って世話を続けられるんです」と下野さんは笑顔をみせます。<br /> 来園者の笑顔を原動力に頑張ってきた下野さんは、今年で80歳。農園のすぐ目の前にある住まいは、築230年という歴史ある屋敷です。来園者がみかん狩りの休憩スポットとして活用できるよう、住まいを改築。大きな土間には囲炉裏が配され、頭上には太い梁が走っています。「みかん狩りだけでなく、古き良き日本家屋の趣も楽しめる」と来園者からは好評。バリアフリーにも対応しており、車いすの人や小さな子ども、年配者も安心して利用できます。<br />「誰でも楽しめる農園でありたいんです。ここを気に入ってくださり、次の年もまたやって来る方がたくさんいらっしゃいます」と下野さん。弁当を持参して、1日中みかん狩りを楽しむ人もいるそうです。<br /> 農園は、小中学生の体験授業の場として活用されることが多く、みかん狩りを楽しんだ生徒たちが手紙をくれることも。「ありがたいことです。励みになりますね」と、大切に残してある手紙と写真を見つめて、下野さんは満面の笑みを浮かべました。<br /> 東浦一帯のみかん農園では、毎年10月中旬から11月上旬までがベストシーズン。今年の秋の行楽は、歴史ある東浦みかんを食べに出かけるプランはいかがでしょうか。<br /><br />文/和佐田真 写真/新井のぞみ

休憩所として開放している土間。今では囲炉裏を見る機会もあまりないので、子どもたちは大喜び。年配の皆さんは昔を懐かしみます

 現在、東浦にある8戸のみかん農家は、全てが観光農園。元比田の下野寿栄子さんのみかん農園は、代々続く老舗で、観光農園を始めたのは昭和46年からです。
 みかんの栽培は秋の収穫期に向け、前年の冬から準備が始まります。収穫期を終えてまず行うのは、「お礼肥え」と呼ばれる作業。果樹の樹勢を回復させるために肥料をたっぷり与えます。雪が降れば枝葉に積もった雪を竿で払い、春の足音が近くなると、古い枝を剪定し、花芽を摘み取ります。新緑がまぶしい季節には、草を刈り、再び肥料を与えます。いよいよ実が大きくなり始める晩夏には、陽光が当たる枝に実ったみかんにガムテープを貼付。強い日差しから表皮を守ります。1年を通して、常に作物に気を配る下野さん。これらの作業をひとりで行っているというから驚きです。
「収穫期は1年に一度だけ。その時期を楽しみにしているのは、みかん狩りに来る皆さんです。私は、この農園にやってきてみかん狩りを楽しむ皆さんの笑顔が楽しみで仕方がないんですよ。笑顔が見たいから1年頑張って世話を続けられるんです」と下野さんは笑顔をみせます。
 来園者の笑顔を原動力に頑張ってきた下野さんは、今年で80歳。農園のすぐ目の前にある住まいは、築230年という歴史ある屋敷です。来園者がみかん狩りの休憩スポットとして活用できるよう、住まいを改築。大きな土間には囲炉裏が配され、頭上には太い梁が走っています。「みかん狩りだけでなく、古き良き日本家屋の趣も楽しめる」と来園者からは好評。バリアフリーにも対応しており、車いすの人や小さな子ども、年配者も安心して利用できます。
「誰でも楽しめる農園でありたいんです。ここを気に入ってくださり、次の年もまたやって来る方がたくさんいらっしゃいます」と下野さん。弁当を持参して、1日中みかん狩りを楽しむ人もいるそうです。
 農園は、小中学生の体験授業の場として活用されることが多く、みかん狩りを楽しんだ生徒たちが手紙をくれることも。「ありがたいことです。励みになりますね」と、大切に残してある手紙と写真を見つめて、下野さんは満面の笑みを浮かべました。
 東浦一帯のみかん農園では、毎年10月中旬から11月上旬までがベストシーズン。今年の秋の行楽は、歴史ある東浦みかんを食べに出かけるプランはいかがでしょうか。

文/和佐田真 写真/新井のぞみ

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