尾張旭市・瀬戸市「アサヒトセト®」| 2017年7月号掲載

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特別天然記念物 オオサンショウウオ

蛇ヶ洞川に棲む生きた化石

瀬戸市の蛇ヶ洞川は、特別天然記念物である
オオサンショウウオ生息地の東端です。
ぬめり気のある大きな体に、つぶらな瞳と小さな脚。
人里近くに暮らしながら、短い脚を上下に動かして
歩く愛らしい姿が地元で親しまれてきました。
オオサンショウウオが長く棲み続けられる環境を目指して、
地域による温かな見守りが続けられています。

■生息地の東端に棲む 謎多き両生類を学術調査
 蛇ヶ洞川は自然豊かな地域です。しかし、これまでさまざまな環境問題が起こってきました。なかでも大きかったのが、産業廃棄物の不法投棄。川の上流にフェロシルトという放射性物質を含んだ土壌埋め戻し材が廃棄され、川が赤く染まった時がありました。現在は撤去されましたが、廃材や家電の投棄は続いたといいます。「ゴミがあふれかえる、いわゆる『産廃銀座』状態でした。地域の人々の清掃活動はもちろん、塀を作ったり道路を封鎖したりして、廃棄物を投棄する人の上流への侵入を食い止めています」と、生息地の環境整備に努める瀬戸オオサンショウウオの会の早川直彦さんは語ります。<br /> 2000年頃からオオサンショウウオの愛好者が集まり、NPO法人名古屋水辺研究会と一体となって生態観察や見守りを続けてきました。2014年になり、瀬戸オオサンショウウオの会を発足。現在では、下半田川町の自治会の下部組織として下半田川町に暮らす皆が会員となり、草刈りや巣穴の清掃活動などをしています。<br /> 幼い頃からオオサンショウウオを愛でてきた会員の一人、水野哉子さんは「目も脚も小さくて、まるで人間の赤ちゃんみたい。愛嬌があって可愛いんです」と魅力を話します。体の模様や色などから個体の見分けがつくといい、「花川橋にいるから『はなちゃん』と名づけた時も」とほほ笑みます。<br /> のんびりとした見た目ですが、凶暴な一面も。「ヌートリアを食べたり、仲間同士でカエルを取り合ったり。指を食いちぎられた人間もいるんですよ」と水野さんは教えてくれました。瀬戸市立掛川小学校の児童たちが見学に訪れる際は、小さな幼生に歓声をあげるといいます。「地域のマスコットキャラクターのような存在であり、誇りでもあります。子どもたちが親しんでくれているのがうれしいですね」と早川さんは笑みを見せました。

きれいな水を好んで棲むといわれます

 生きた化石とも呼ばれるオオサンショウウオ。太古から体形を変えず、日本の里山で生き延びてきました。世界最大の両生類で、なかには体長150センチのものも。日本固有種として特別天然記念物に指定されています。
 そんなオオサンショウウオが蛇ヶ洞川にも生息しているのは、よく知られています。本州、四国、九州と日本各地に暮らしていますが、瀬戸市より東では確認されておらず、蛇ヶ洞川は生息地の東端だと研究者のなかで考えられています。
 蛇ヶ洞川が流れる下半田川町の人々にとって、オオサンショウウオは古来身近な存在でした。川辺や用水路で見かけたと話題にのぼったり、小学校の理科の教師が観察したりもしていました。
 1994年、河川工事の計画に伴って生態調査を開始。7匹が確認され、6年後からはさらに本格的な学術調査がスタートしました。
 名古屋市東山動植物園と瀬戸市、文化庁による調査が2008年まで実施され、一体ずつに個体識別のためのマイクロチップを埋め込みました。巣になる岩陰や餌の小魚、産卵や幼生についても調べ、その結果、63匹が確認されたのです。「現在でも70~80匹が生息していると推定しています。他の生息地では一つの河川ではるかに多く見つかっているため、蛇ヶ洞川は比較的小規模な生息地ですね」と瀬戸市役所の服部郁さんは現状を教えてくれます。「寿命が確認されていないほど長寿の生き物。何世代にもわたって調査を続けていかないと、生息数の増減はわかりません。オオサンショウウオにとって蛇ヶ洞川が棲み良い環境なのかは、次世代の研究を待たねばならないのです」
■大切な命を守るため 一丸となって保護活動
 蛇ヶ洞川は自然豊かな地域です。しかし、これまでさまざまな環境問題が起こってきました。なかでも大きかったのが、産業廃棄物の不法投棄。川の上流にフェロシルトという放射性物質を含んだ土壌埋め戻し材が廃棄され、川が赤く染まった時がありました。現在は撤去されましたが、廃材や家電の投棄は続いたといいます。「ゴミがあふれかえる、いわゆる『産廃銀座』状態でした。地域の人々の清掃活動はもちろん、塀を作ったり道路を封鎖したりして、廃棄物を投棄する人の上流への侵入を食い止めています」と、生息地の環境整備に努める瀬戸オオサンショウウオの会の早川直彦さんは語ります。<br /> 2000年頃からオオサンショウウオの愛好者が集まり、NPO法人名古屋水辺研究会と一体となって生態観察や見守りを続けてきました。2014年になり、瀬戸オオサンショウウオの会を発足。現在では、下半田川町の自治会の下部組織として下半田川町に暮らす皆が会員となり、草刈りや巣穴の清掃活動などをしています。<br /> 幼い頃からオオサンショウウオを愛でてきた会員の一人、水野哉子さんは「目も脚も小さくて、まるで人間の赤ちゃんみたい。愛嬌があって可愛いんです」と魅力を話します。体の模様や色などから個体の見分けがつくといい、「花川橋にいるから『はなちゃん』と名づけた時も」とほほ笑みます。<br /> のんびりとした見た目ですが、凶暴な一面も。「ヌートリアを食べたり、仲間同士でカエルを取り合ったり。指を食いちぎられた人間もいるんですよ」と水野さんは教えてくれました。瀬戸市立掛川小学校の児童たちが見学に訪れる際は、小さな幼生に歓声をあげるといいます。「地域のマスコットキャラクターのような存在であり、誇りでもあります。子どもたちが親しんでくれているのがうれしいですね」と早川さんは笑みを見せました。

瀬戸オオサンショウウオの会を主体に、人工巣穴の清掃をしています。子どもは水遊びの絶好の機会です

 蛇ヶ洞川は自然豊かな地域です。しかし、これまでさまざまな環境問題が起こってきました。なかでも大きかったのが、産業廃棄物の不法投棄。川の上流にフェロシルトという放射性物質を含んだ土壌埋め戻し材が廃棄され、川が赤く染まった時がありました。現在は撤去されましたが、廃材や家電の投棄は続いたといいます。「ゴミがあふれかえる、いわゆる『産廃銀座』状態でした。地域の人々の清掃活動はもちろん、塀を作ったり道路を封鎖したりして、廃棄物を投棄する人の上流への侵入を食い止めています」と、生息地の環境整備に努める瀬戸オオサンショウウオの会の早川直彦さんは語ります。
 2000年頃からオオサンショウウオの愛好者が集まり、NPO法人名古屋水辺研究会と一体となって生態観察や見守りを続けてきました。2014年になり、瀬戸オオサンショウウオの会を発足。現在では、下半田川町の自治会の下部組織として下半田川町に暮らす皆が会員となり、草刈りや巣穴の清掃活動などをしています。
 幼い頃からオオサンショウウオを愛でてきた会員の一人、水野哉子さんは「目も脚も小さくて、まるで人間の赤ちゃんみたい。愛嬌があって可愛いんです」と魅力を話します。体の模様や色などから個体の見分けがつくといい、「花川橋にいるから『はなちゃん』と名づけた時も」とほほ笑みます。
 のんびりとした見た目ですが、凶暴な一面も。「ヌートリアを食べたり、仲間同士でカエルを取り合ったり。指を食いちぎられた人間もいるんですよ」と水野さんは教えてくれました。瀬戸市立掛川小学校の児童たちが見学に訪れる際は、小さな幼生に歓声をあげるといいます。「地域のマスコットキャラクターのような存在であり、誇りでもあります。子どもたちが親しんでくれているのがうれしいですね」と早川さんは笑みを見せました。
■一般向けの観察会を開催 親しまれ愛される存在
 瀬戸市では、瀬戸オオサンショウウオの会や地元企業と協力し、夜行性に配慮して夜間の観察会を続けています。産卵時期である7月後半~8月にかけてする学術調査に一般希望者が同行。今年は7月29日、8月19日に開催予定です。夏休み期間中の子どもはもちろん、何度も参加する大人もいるそう。瀬戸オオサンショウウオの会が開く巣穴の清掃活動にも、例年多くの希望者が参加して額に汗を流しながら励んでいます。<br /> 太古から変わらぬ姿で、国内の山川に棲みついてきたオオサンショウウオ。「身近にいると生態を守ろうと整備する動きが出るため、環境破壊を食い止める抑止力になっています。地域の魅力や誇りにもなっていると思います」と服部さん。これからも不思議で可愛い存在が、長く地域を元気づけてくれることでしょう。<br /> 文/鈴木満優子

夜間観察会の前、オオサンショウウオの基本について学べる座学が設けられています

 瀬戸市では、瀬戸オオサンショウウオの会や地元企業と協力し、夜行性に配慮して夜間の観察会を続けています。産卵時期である7月後半~8月にかけてする学術調査に一般希望者が同行。今年は7月29日、8月19日に開催予定です。夏休み期間中の子どもはもちろん、何度も参加する大人もいるそう。瀬戸オオサンショウウオの会が開く巣穴の清掃活動にも、例年多くの希望者が参加して額に汗を流しながら励んでいます。
 太古から変わらぬ姿で、国内の山川に棲みついてきたオオサンショウウオ。「身近にいると生態を守ろうと整備する動きが出るため、環境破壊を食い止める抑止力になっています。地域の魅力や誇りにもなっていると思います」と服部さん。これからも不思議で可愛い存在が、長く地域を元気づけてくれることでしょう。
 文/鈴木満優子

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