行田市・鴻巣市「むさしる」| 2018年8月号掲載

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地元農業への関心と観光促進を目指す行田市の田んぼアート

市民の手で作られる 世界最大級の地上絵

8月を迎え、草木の緑が色濃くなるにつれて行田市に出現する、
ギネス世界記録®にも認定された田んぼアート。
広大な田んぼの田植えと稲の刈り取りを行うのは、
1000人以上のボランティアと一般参加者たちだ。
行田市役所環境経済部農政課の皆さんに、
田んぼアート制作に込めた思いを聞いた。

■稲の色を利用して 田んぼに巨大な絵を描く
<br /> 田んぼアートは、市の職員以外にも多くの人々の力で作られている。今年6月中旬に、2日間かけて行われた田植え作業は、ボランティアや一般体験参加者など、総勢1000人以上が参加した。<br /> 一般体験参加者は公募のため、田植えが初めてという人も少なくない。学校や企業などの団体参加もあり、広大な田んぼに朝早くから、さまざまな年齢、性別の人々が賑やかに苗を植えていった。イラストの背景にあたる広い部分は、機械植え。込み入った所ほど、ベテラン勢が手植えをする。<br /> 東京から来たと言う瀬田隆継さんは「初めて参加しました。秋に完成するのが楽しみ。また、見に来ます」。市内の中学校に通うという、友人同士の荘野胡実さん、八田汐梨さんは、「田んぼに足が埋まりそう。今日は肌寒かったけれど、土は温かく感じました」と話す。参加した人々の多くは泥だらけになりながら、来年もやりたいと充実した笑顔を見せた。<br /> 植えられた苗は、育つにつれて少しずつ絵が鮮明になってくる。それを楽しみに、「何度も展望台を訪れる人もいるんですよ」と、同課主事の田頭柊平さんが教えてくれた。<br /> 田んぼアートを裏から支えるのは、田んぼアート米づくり体験事業推進協議会。デザイン決定から苗や肥料の準備、植えた後は、ヘリコプターによる虫の駆除、田の管理まで行う。行政と関係機関・団体、農業関係者を中心に構成され、初回から田んぼの面倒を見ている。<br /> 田んぼアートは夏から秋の間、来場者の目を楽しませ、10月になると一部が刈られる。毎年、田植え体験の一般参加者を中心とした希望者により、背景部分の稲刈り体験を開催しているのだ。背景に使われているのは、埼玉のブランド米である彩のかがやき。刈り取ったものは後日、田植え・稲刈り体験参加者の元へ送られる。<br /> 自分たちで植えた稲からできた米は、おいしさもひとしお。小さな子どもがいる家族には、1年を通しての食育体験になる。米離れの進むなか、多くの人に地元の米を身近に感じてもらうのが、協議会としての願いだ。<br /> 市川さんは、「協議会の皆さんが積み重ねた経験を生かしながら、毎年反省と努力の日々です。クオリティー面でも、田んぼアート発祥の青森県田舎館村を目指せたらいいですね」と、結んだ。<br /> 田んぼアートが最も色鮮やかに見えるのは、7月下旬から8月中旬頃まで。背景部分が刈られた後の絵柄は、11月14日の埼玉県民の日まで残る。時期ごとに違う顔を見せ、長く楽しめる地上絵を、多くの人に堪能してほしい。<br />文/橋本由貴子

2日間にわたって行われた田植え。1日の参加者は500人以上で、行田市観光大使のNoeさんも参加した

 行田市にある、地上50メートルの古代蓮会館展望室。広大な関東平野をはじめ、季節、天候によっては富士山や東京スカイツリーを望める。世界最大の田んぼアートは、ここから最も良く見えるように作られている。古代蓮の開花と重なる時期は特に多くの人が訪れ、昨年7月の入館者数は3万4000人を超えた。
 水田をキャンバスに見立て、葉の色が異なる稲でイラストや文字を描く田んぼアート。行田市で
始まったのは平成20年から。市に観光資源を作り、米どころのPRもするのが目的だ。初回は一輪の古代蓮の絵だったが、年を追うごとに凝ったものになり、約2000平方メートルだった面積も約2万8000平方メートルになった。平成27年には、世界一の面積だ
とギネス世界記録®に認定され、ここから知名度が急上昇する。
 これまでのデザインは、古代蓮や陸王、のぼうの城といった行田市にまつわるもの、ギネス世界記録の縁でドラゴンクエストとのコラボレーションなど。開催11回目を迎える今回は、テーマを「大いなる翼とナスカの地上絵」とし、コンドルとハチドリの地上絵、世界最大の飛ぶ鳥であるコンドルと、古代蓮を描く。
 「展望室ほどの高さから、やっと全体を見渡せる田んぼアートを、地上絵の一種と捉えました」
 ナスカの地上絵を選んだ理由を教えてくれたのは、行田市役所環境経済部農政課主事の市川諭さんだ。描くなら正確なものにしようと、ペルー大使館と山形大学ナスカ研究所の協力も得た。
 原画を元に今年、行田市が使った稲は8種類。田植え前に、色分けしたい場所に合わせて杭を打ち、仕切りのロープを張っていく。作業には市の職員があたった。
 「絵柄が複雑なほど杭は密集し、作業も複雑になります。今年使った杭は5000本以上。ロー
プも10キロメートル以上を使用
しました」と、市川さんは話す。
 稲の品種は、彩のかがやき、ゆきあそび、あかねあそび、紫905など。苗の時には色で見分けにくいため、慎重に植える必要がある。「東北で開発された品種が多いので、埼玉北部の暑い夏は心配ですね。昨年は、空梅雨の影響で色が長続きしませんでした」と言うのは、同課主幹の蓮見宗徳さんだ。
 自然相手だけに、そんなハプニングもある。「今年も苗の順調な生長を祈るばかりです」と、市川さんが続けた。
■田植えや収穫体験を通して 地元農業への興味を喚起
<br /> 田んぼアートは、市の職員以外にも多くの人々の力で作られている。今年6月中旬に、2日間かけて行われた田植え作業は、ボランティアや一般体験参加者など、総勢1000人以上が参加した。<br /> 一般体験参加者は公募のため、田植えが初めてという人も少なくない。学校や企業などの団体参加もあり、広大な田んぼに朝早くから、さまざまな年齢、性別の人々が賑やかに苗を植えていった。イラストの背景にあたる広い部分は、機械植え。込み入った所ほど、ベテラン勢が手植えをする。<br /> 東京から来たと言う瀬田隆継さんは「初めて参加しました。秋に完成するのが楽しみ。また、見に来ます」。市内の中学校に通うという、友人同士の荘野胡実さん、八田汐梨さんは、「田んぼに足が埋まりそう。今日は肌寒かったけれど、土は温かく感じました」と話す。参加した人々の多くは泥だらけになりながら、来年もやりたいと充実した笑顔を見せた。<br /> 植えられた苗は、育つにつれて少しずつ絵が鮮明になってくる。それを楽しみに、「何度も展望台を訪れる人もいるんですよ」と、同課主事の田頭柊平さんが教えてくれた。<br /> 田んぼアートを裏から支えるのは、田んぼアート米づくり体験事業推進協議会。デザイン決定から苗や肥料の準備、植えた後は、ヘリコプターによる虫の駆除、田の管理まで行う。行政と関係機関・団体、農業関係者を中心に構成され、初回から田んぼの面倒を見ている。<br /> 田んぼアートは夏から秋の間、来場者の目を楽しませ、10月になると一部が刈られる。毎年、田植え体験の一般参加者を中心とした希望者により、背景部分の稲刈り体験を開催しているのだ。背景に使われているのは、埼玉のブランド米である彩のかがやき。刈り取ったものは後日、田植え・稲刈り体験参加者の元へ送られる。<br /> 自分たちで植えた稲からできた米は、おいしさもひとしお。小さな子どもがいる家族には、1年を通しての食育体験になる。米離れの進むなか、多くの人に地元の米を身近に感じてもらうのが、協議会としての願いだ。<br /> 市川さんは、「協議会の皆さんが積み重ねた経験を生かしながら、毎年反省と努力の日々です。クオリティー面でも、田んぼアート発祥の青森県田舎館村を目指せたらいいですね」と、結んだ。<br /> 田んぼアートが最も色鮮やかに見えるのは、7月下旬から8月中旬頃まで。背景部分が刈られた後の絵柄は、11月14日の埼玉県民の日まで残る。時期ごとに違う顔を見せ、長く楽しめる地上絵を、多くの人に堪能してほしい。<br />文/橋本由貴子

平成29年度の作品「イナダヒメノミコトとスサノオノミコト」


 田んぼアートは、市の職員以外にも多くの人々の力で作られている。今年6月中旬に、2日間かけて行われた田植え作業は、ボランティアや一般体験参加者など、総勢1000人以上が参加した。
 一般体験参加者は公募のため、田植えが初めてという人も少なくない。学校や企業などの団体参加もあり、広大な田んぼに朝早くから、さまざまな年齢、性別の人々が賑やかに苗を植えていった。イラストの背景にあたる広い部分は、機械植え。込み入った所ほど、ベテラン勢が手植えをする。
 東京から来たと言う瀬田隆継さんは「初めて参加しました。秋に完成するのが楽しみ。また、見に来ます」。市内の中学校に通うという、友人同士の荘野胡実さん、八田汐梨さんは、「田んぼに足が埋まりそう。今日は肌寒かったけれど、土は温かく感じました」と話す。参加した人々の多くは泥だらけになりながら、来年もやりたいと充実した笑顔を見せた。
 植えられた苗は、育つにつれて少しずつ絵が鮮明になってくる。それを楽しみに、「何度も展望台を訪れる人もいるんですよ」と、同課主事の田頭柊平さんが教えてくれた。
 田んぼアートを裏から支えるのは、田んぼアート米づくり体験事業推進協議会。デザイン決定から苗や肥料の準備、植えた後は、ヘリコプターによる虫の駆除、田の管理まで行う。行政と関係機関・団体、農業関係者を中心に構成され、初回から田んぼの面倒を見ている。
 田んぼアートは夏から秋の間、来場者の目を楽しませ、10月になると一部が刈られる。毎年、田植え体験の一般参加者を中心とした希望者により、背景部分の稲刈り体験を開催しているのだ。背景に使われているのは、埼玉のブランド米である彩のかがやき。刈り取ったものは後日、田植え・稲刈り体験参加者の元へ送られる。
 自分たちで植えた稲からできた米は、おいしさもひとしお。小さな子どもがいる家族には、1年を通しての食育体験になる。米離れの進むなか、多くの人に地元の米を身近に感じてもらうのが、協議会としての願いだ。
 市川さんは、「協議会の皆さんが積み重ねた経験を生かしながら、毎年反省と努力の日々です。クオリティー面でも、田んぼアート発祥の青森県田舎館村を目指せたらいいですね」と、結んだ。
 田んぼアートが最も色鮮やかに見えるのは、7月下旬から8月中旬頃まで。背景部分が刈られた後の絵柄は、11月14日の埼玉県民の日まで残る。時期ごとに違う顔を見せ、長く楽しめる地上絵を、多くの人に堪能してほしい。
文/橋本由貴子

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