恵那市・中津川市「maika」| 2018年10月号掲載

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乳がん患者の会 あけぼの岐阜

患者やその家族が呼びかける、 乳がん早期発見の大切さ

アメリカから始まった、乳がんの啓発活動「ピンクリボン運動」。 日本でも10月をピンクリボン月間として、早期発見・早期治療を啓発するイベントや セミナーなどが、全国で開かれます。岐阜県を拠点に活動する、 乳がん患者会の任意団体「あけぼの岐阜」も、早期発見の重要性を訴えています。

■女性の30歳から64歳では 乳がんが死亡原因のトップ
 2006年にがん対策基本法が制定され、2016年にはがん患者が安心して暮らせる社会への環境整備を盛り込んだ、改正がん対策基本法が成立しました。また、がん教育が小学校にも広がり、子どもたちもがんへの理解が深まりつつあります。<br /> しかし、それはごく最近のことで、ひと昔前までは乳がんを含め、がんについての正しい知識を知る機会は多くありませんでした。そのため、偏見や差別が見られ、患者本人だけでなく、その家族や周囲の人たちにも精神的苦痛が生じる時があった、と橋渡さんはいいます。「それを恐れて、子どもの学校の先生には、私が乳がんであると教室でいわないよう、お願いしました」と当時を振り返ります。<br /> 現在では、全国のがん診療連携拠点病院にがん相談支援センターが設けられ、がん患者同士が支え合う場として患者会、患者サロン、ピアサポートなどが多数生まれています。ところが橋渡さんが罹患した時代、岐阜県内にはなく、乳がん患者会の全国組織「あけぼの会」の愛知支部に顔を出していました。そこに参加していた岐阜県在住者が集い、2004年に岐阜支部を起ち上げ、2009年からは「あけぼの岐阜」として独立しました。<br /> 「賢い患者さんになりましょう」を目的に掲げて、顧問医を講師に迎えた講演会や勉強会を開催し、手術や治療などの正確な情報や知識の習得に励むとともに、会員(患者やその家族)の親睦を図る、おしゃべり会や旅行などを主な活動としています。<br /> 会員の体験や声を届けることも積極的に進めており、地域の保健センターや学校、企業に出向き、乳がんに関する教育ボランティアを行ってきました。がん患者の相談サロンも中津川市と岐阜市で開設しています。こうした長年の活動が認められて、2015年には岐阜県知事賞(清流ミナモ賞)を受賞しました。<br /> 「がん患者の方やご家族が、安心して治療を受けたり、生活が送れたりするために、同じ患者という立場からサポートできればと思います」と橋渡さんは思いを語ります。

あけぼの岐阜には現在78人が在籍。会員だけでなく、ウェブ関連を担う山本豊さん(システムヨシムラ)のような支援者の存在もあって、これまで活動が続けてこられたと橋渡代表は話します

 近年は著名人による乳がん体験の発信や、ピンクリボン運動などの啓発活動によって、乳がんへの意識は高まってきています。その反面、さくらももこさんの訃報は記憶に新しいところですが、乳がんで命を落とす人は年々増加しているのです。
 原因の一つとして、検診受診率の低さが指摘されています。厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、乳がん検診の受診率は2010年30・6%、2013年34・2%、2016年36・9%と微増しているものの、国が目標とする50%には遠く及んでいません。
 2016年の乳がんによる死亡数は1万4013人で、女性の30歳から64歳では死亡原因のトップになっています。しかし罹患数に比べ、死亡数は少なく、早期に発見して適切な治療を施せば、良好な経過も期待できるのです。
 乳がん検診は、現在日本では40歳以上の女性を対象に2年に一度、マンモグラフィによる検診を原則とすると定めています。罹患率が40〜50歳代にピークを迎えるためで、自治体によっては30代の女性の乳がん検診を独自に行っているところもあります。
 「11人に1人が乳がんといわれています。それほど身近な病気なのです。少しでも早く異常を見つけるのが大切です。あけぼの岐阜では毎年5月の母の日に、会員が乳がんの自己検診を促すポケットティッシュを配布して、啓発に努めてきました」と代表の橋渡智美さんは話します。
 橋渡さん自身、セルフチェックにより胸の違和感に気づき、病院を受診して乳がんが見つかったそうです。乳がんの進行は比較的遅いですが、中には進行の早いタイプもあり、市が行う検診(2年に一回)だけではなく、毎月一回の自己検診で罹患する可能性が少なくなります。もちろん、2年の間に少しでも異変があれば、乳腺専門医の受診を推奨します。
■知識を学び、親睦を深め、 患者同士が支え合う場として
 2006年にがん対策基本法が制定され、2016年にはがん患者が安心して暮らせる社会への環境整備を盛り込んだ、改正がん対策基本法が成立しました。また、がん教育が小学校にも広がり、子どもたちもがんへの理解が深まりつつあります。<br /> しかし、それはごく最近のことで、ひと昔前までは乳がんを含め、がんについての正しい知識を知る機会は多くありませんでした。そのため、偏見や差別が見られ、患者本人だけでなく、その家族や周囲の人たちにも精神的苦痛が生じる時があった、と橋渡さんはいいます。「それを恐れて、子どもの学校の先生には、私が乳がんであると教室でいわないよう、お願いしました」と当時を振り返ります。<br /> 現在では、全国のがん診療連携拠点病院にがん相談支援センターが設けられ、がん患者同士が支え合う場として患者会、患者サロン、ピアサポートなどが多数生まれています。ところが橋渡さんが罹患した時代、岐阜県内にはなく、乳がん患者会の全国組織「あけぼの会」の愛知支部に顔を出していました。そこに参加していた岐阜県在住者が集い、2004年に岐阜支部を起ち上げ、2009年からは「あけぼの岐阜」として独立しました。<br /> 「賢い患者さんになりましょう」を目的に掲げて、顧問医を講師に迎えた講演会や勉強会を開催し、手術や治療などの正確な情報や知識の習得に励むとともに、会員(患者やその家族)の親睦を図る、おしゃべり会や旅行などを主な活動としています。<br /> 会員の体験や声を届けることも積極的に進めており、地域の保健センターや学校、企業に出向き、乳がんに関する教育ボランティアを行ってきました。がん患者の相談サロンも中津川市と岐阜市で開設しています。こうした長年の活動が認められて、2015年には岐阜県知事賞(清流ミナモ賞)を受賞しました。<br /> 「がん患者の方やご家族が、安心して治療を受けたり、生活が送れたりするために、同じ患者という立場からサポートできればと思います」と橋渡さんは思いを語ります。

講演会の開催のほか、路上での啓発活動も実施。多くの人に興味を持ってもらえるよう、県内を走り回っています

 2006年にがん対策基本法が制定され、2016年にはがん患者が安心して暮らせる社会への環境整備を盛り込んだ、改正がん対策基本法が成立しました。また、がん教育が小学校にも広がり、子どもたちもがんへの理解が深まりつつあります。
 しかし、それはごく最近のことで、ひと昔前までは乳がんを含め、がんについての正しい知識を知る機会は多くありませんでした。そのため、偏見や差別が見られ、患者本人だけでなく、その家族や周囲の人たちにも精神的苦痛が生じる時があった、と橋渡さんはいいます。「それを恐れて、子どもの学校の先生には、私が乳がんであると教室でいわないよう、お願いしました」と当時を振り返ります。
 現在では、全国のがん診療連携拠点病院にがん相談支援センターが設けられ、がん患者同士が支え合う場として患者会、患者サロン、ピアサポートなどが多数生まれています。ところが橋渡さんが罹患した時代、岐阜県内にはなく、乳がん患者会の全国組織「あけぼの会」の愛知支部に顔を出していました。そこに参加していた岐阜県在住者が集い、2004年に岐阜支部を起ち上げ、2009年からは「あけぼの岐阜」として独立しました。
 「賢い患者さんになりましょう」を目的に掲げて、顧問医を講師に迎えた講演会や勉強会を開催し、手術や治療などの正確な情報や知識の習得に励むとともに、会員(患者やその家族)の親睦を図る、おしゃべり会や旅行などを主な活動としています。
 会員の体験や声を届けることも積極的に進めており、地域の保健センターや学校、企業に出向き、乳がんに関する教育ボランティアを行ってきました。がん患者の相談サロンも中津川市と岐阜市で開設しています。こうした長年の活動が認められて、2015年には岐阜県知事賞(清流ミナモ賞)を受賞しました。
 「がん患者の方やご家族が、安心して治療を受けたり、生活が送れたりするために、同じ患者という立場からサポートできればと思います」と橋渡さんは思いを語ります。
■中津川市民病院副病院長●関谷正徳先生 その人に合った治療を 一緒に考え、提案します
 近年は乳房再建手術をする人も増えており、乳がん治療は一つの病院で完結するのが難しくなってきています。中津川市民病院では東濃地域に限らず、県内や愛知県の乳腺専門医が在籍する病院との連携を密に行っています。乳房再建についても患者の希望を聞いて、愛知県がんセンター、名古屋大学付属病院などを紹介しています。飲酒や喫煙、肥満(特に閉経後の肥満)、乳がんになった家族がいるなどは、乳がんのリスクが高いといえます。乳がんは早期発見や適切な治療で、多くが根治の期待ができるがんです。気になることがあれば、ぜひ受診してください。
■市立恵那病院病院長●浅野雅嘉先生 乳房に関する悩みがあれば、 お気軽にご相談を
 市立恵那病院では、乳腺専門医やマンモグラフィ読影資格を有する医師、がん化学療法認定やがん疼痛緩和認定の資格を有する看護師、マンモグラフィ撮影技術認定を有する女性の診療放射線技師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなどがチームを組み、乳がん治療に当たっています。乳がんは早期発見・治療により比較的治癒が見込め、5年生存率は約90%です。自覚症状がなくても、40歳以上の方は、2年に1度はマンモグラフィによる検診を受けましょう。これからも「あけぼの岐阜」の皆さんと共に、乳がんの啓発や診療に尽力していきます。

文/長屋整徳

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