駒ヶ根市・宮田村・飯島町・辰野町「komamaru」| 2018年11月号掲載

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小渋ダム

地域の豊かさを支える巨大ダム

1969年に完成し、アーチ式コンクリートダムのなかでは
長野県で2番目の高さを誇る小渋ダム。
近年、日本は集中豪雨や台風などにより、多くの水害に見舞われています。
そんななか、この地域を守る小渋ダムの目的や役割、
さらには愛好家を夢中にさせる魅力を改めて知ってみませんか。

■大災害を教訓に 小渋ダム建設の経緯
 まずアーチ式のダムの堤上を歩くと、もうひとつの特徴であるダム堤体が薄くスリムであるのがわかります。断面の底幅は16メートルですが頂上の幅は4メートルしかありません。しかし、この堤体の中に地下3階まで降りるエレベーターがあり、コンジットゲートを上下、真横から見られます。<br /> 堤内の温度は年中約15度で、夏は涼しく冬は暖か。堤体がコンクリート製なので、温度差や水圧により上流側や下流側に約4センチ程度、たわむ時があるそう。この動きを正確に観測するプラムラインという装置も見学できます。<br /> ダム湖に流れ込む土砂は、毎年堆積してきており、その対策として、2016年、洪水時にダム湖に流入する土砂を下流へ流す、約4キロの土砂バイパストンネルが完成。開放DAYはこのトンネル内を歩くイベントも実施しています。ヘルメットを被り、堤内を上下するのは、子どもだけでなく大人もワクワクするはずです。

ダム堤体の堤頂は標高620mで長さは293.3m。上部にある5つの門はクレストゲート(非常用洪水吐)といい、ダム完成時から放流したことは一度もないそう。水力発電(長野県企業局)は年間約1万世帯の電気をつくり、かんがいは松川町から豊丘村、喬木村、飯田市までの田畑(約900ha)に供給しています

 天竜小渋水系県立自然公園に指定され、ダムとその周辺の森と水が織りなす景観が美しい小渋ダム。全国からダム愛好家だけでなく、観光を兼ねた見学者が訪れています。秋の紅葉や散策、冬のダム湖でのワカサギ釣り、春夏のボート遊びなど、季節ごとのレクリエーションが楽しめるほか、地元の小学生が社会科見学に訪れる教育の場でもあります。
 小渋川は南アルプスの赤石岳を水源とし、本川・天竜川までの約30キロを流れる支川です。天竜川流域から流出する大量の土砂によって合流した天竜川の河床の上昇などにより、洪水のたびに伊那盆地では災害が発生しました。なかでも1961(昭和36)年の伊那谷を襲った災害(通称・三六災害)は県内の死者136人を出す大災害となりました。建設省では災害を教訓とし、それまで計画されていた天竜川上流部の治水計画を抜本的に改正。小渋ダムの規模を大きく変更して、1963年には工事に着手。その後6年かけて、長さ(堤頂長)293メートル、高さ(堤高)105メートル、ダム湖の貯水量は諏訪湖とほぼ同じで東京ドーム約47杯分という小渋ダムが完成したのです。
 その巨大なコンクリートの構造物は誰の目にも圧巻。ダムを管理する中部地方整備局天竜川ダム統合管理事務所副所長の笠原泰明さんは「小渋ダムの目的は3つあり、洪水調節と発電、かんがい用水の供給です。今年は特に台風が多いので、小渋川の流量が多い。小渋ダムは7月下旬から10月初旬までダム湖の貯水量を台風期制限水位に定めています。台風に備えるために、洪水調節容量を確保しなければなりません。そこでコンジットゲート2門から放流し、貯水量を調整しているのです」と説明します。その量は2門で1秒間に最大500立方メートル。25メートルプールで換算すると約2杯というから、放流するゲートを水しぶきがかかるほど間近に見た迫力はいうまでもありません。これを体感できるのがダム見学や夏休みに行われるイベント「小渋ダム開放DAY」です。
■すべてのスケールが大! 迫力満点の見学ツアー
 まずアーチ式のダムの堤上を歩くと、もうひとつの特徴であるダム堤体が薄くスリムであるのがわかります。断面の底幅は16メートルですが頂上の幅は4メートルしかありません。しかし、この堤体の中に地下3階まで降りるエレベーターがあり、コンジットゲートを上下、真横から見られます。<br /> 堤内の温度は年中約15度で、夏は涼しく冬は暖か。堤体がコンクリート製なので、温度差や水圧により上流側や下流側に約4センチ程度、たわむ時があるそう。この動きを正確に観測するプラムラインという装置も見学できます。<br /> ダム湖に流れ込む土砂は、毎年堆積してきており、その対策として、2016年、洪水時にダム湖に流入する土砂を下流へ流す、約4キロの土砂バイパストンネルが完成。開放DAYはこのトンネル内を歩くイベントも実施しています。ヘルメットを被り、堤内を上下するのは、子どもだけでなく大人もワクワクするはずです。

ダム堤体中部のコンジットゲート(常用洪水吐)2門の真横に出ると、放流時に水しぶきがかかるほど間近で見られます。ダム開放DAYではゲートにタッチもできます

 まずアーチ式のダムの堤上を歩くと、もうひとつの特徴であるダム堤体が薄くスリムであるのがわかります。断面の底幅は16メートルですが頂上の幅は4メートルしかありません。しかし、この堤体の中に地下3階まで降りるエレベーターがあり、コンジットゲートを上下、真横から見られます。
 堤内の温度は年中約15度で、夏は涼しく冬は暖か。堤体がコンクリート製なので、温度差や水圧により上流側や下流側に約4センチ程度、たわむ時があるそう。この動きを正確に観測するプラムラインという装置も見学できます。
 ダム湖に流れ込む土砂は、毎年堆積してきており、その対策として、2016年、洪水時にダム湖に流入する土砂を下流へ流す、約4キロの土砂バイパストンネルが完成。開放DAYはこのトンネル内を歩くイベントも実施しています。ヘルメットを被り、堤内を上下するのは、子どもだけでなく大人もワクワクするはずです。
■災害の歴史を知り 安全なまちづくりに活かす
 現在、この地域で1年間に大雨注意報が発令されている日は60日以上。日本は自然災害が多いと実感するデータです。小渋ダムは伊那市にある美和ダムと合わせて17人の職員によって管理され、24時間体制で雨量や川の水量のデータを計測。水位を保ち、災害を未然に防ぎ、人々の安全な生活を守っています。管理課技官の田中史也さんは「さまざまな機械設備や堤体に異常がないか、点検作業は大切ですし、堤体、河川、ボートで湖面に出て巡視します。洪水時の管理ばかりが注目されがちですが、ダムを適切かつ安全に機能させるには地道な点検や観測による通常時の管理が大切」と語ります。<br /> 私たちの安全な暮らしはダムの機能だけではなく、ダムに関わる人々に守られているのです。笠原さんは「ダム見学では伊那谷には忘れてはならない災害の歴史があり、災害を軽減するために建設されたダムの経緯が学べます。こうした歴史を地域の人々に、特に子どもたちに伝えたい。防災意識の向上や、より安全なまちづくりにつながるはず」と笑顔で話しました。<br /> 来年、小渋ダムは完成から50年目を迎えます。ダイナミックで、美しい景観を織りなすダムが、これからも地域の安全を守ってくれるでしょう。

文/nokko

ダムのたわみを測定するプラムライン

 現在、この地域で1年間に大雨注意報が発令されている日は60日以上。日本は自然災害が多いと実感するデータです。小渋ダムは伊那市にある美和ダムと合わせて17人の職員によって管理され、24時間体制で雨量や川の水量のデータを計測。水位を保ち、災害を未然に防ぎ、人々の安全な生活を守っています。管理課技官の田中史也さんは「さまざまな機械設備や堤体に異常がないか、点検作業は大切ですし、堤体、河川、ボートで湖面に出て巡視します。洪水時の管理ばかりが注目されがちですが、ダムを適切かつ安全に機能させるには地道な点検や観測による通常時の管理が大切」と語ります。
 私たちの安全な暮らしはダムの機能だけではなく、ダムに関わる人々に守られているのです。笠原さんは「ダム見学では伊那谷には忘れてはならない災害の歴史があり、災害を軽減するために建設されたダムの経緯が学べます。こうした歴史を地域の人々に、特に子どもたちに伝えたい。防災意識の向上や、より安全なまちづくりにつながるはず」と笑顔で話しました。
 来年、小渋ダムは完成から50年目を迎えます。ダイナミックで、美しい景観を織りなすダムが、これからも地域の安全を守ってくれるでしょう。 文/nokko

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