地域みっちゃく生活情報誌®
■『甲賀フリモ』
- 発行エリア
- 滋賀県 湖南市・甲賀市
- 総発行部数
- 24,999部
- >各戸配布数
- 24,100部
- >無料設置数
- 899部
- 発行日
- 毎月25日
2024年10月31日 現在
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2019年10月号
創業80余年 株式会社やまじょう
食卓を彩る近江の伝統野菜
湖南市の下田地域に100年以上も前から伝わる下田なす。皮が薄いため傷つきやすく、栽培に手間が掛かる品種です。明治末期に創業した株式会社やまじょうは、地域の家庭で細々と栽培されてきた下田なすに着目し、漬物の製品化にこぎ着けました。いまでは自社農園を構え、安心・安全をモットーに、下田なすを栽培しています。収穫期は6月から10月頃まで。農園では早朝から収穫作業に勤しみ、とれたての下田なすをその日のうちに加工しています。このほか、大根や白菜を使った漬物はもちろん、カマンベールチーズや赤こんにゃくなど珍しい材料を用いた漬物が人気を博しています。
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2020年3月号
鮎川のさくらを守る会
山河を染める思い出の桜
甲賀市の最南端で、鈴鹿山脈の中腹に位置する鮎河地域。清流・うぐい川の両岸にソメイヨシノが並び、滋賀県内でも屈指の名所として多くの観光客でにぎわいます。昭和32年、三上六所神社の屋根の葺き替えを記念し、20本が植樹されたのが始まりで、以降は鮎河小学校の卒業記念として植樹されてきました。うぐい川の土手が埋まると野洲川沿いまで範囲を広げ、いまでは「千本桜」と称されています。この桜の世話をするのが、近隣の有志が集まる「鮎河のさくらを守る会」の皆さんです。桜は腐朽病害に弱いため、毎年、病気の枝を剪定しなくてはなりません。故郷への深い愛情を胸に、大切な桜を守り続けています。
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2020年8月号
信楽高原鐵道 87年の軌跡
信楽高原鐵道の開業は昭和8年。当初は貴生川から京都府加茂までの計画でしたが、昭和4年に始まった工事は昭和恐慌の影響で遅れ、貴生川~信楽間の約14.7キロが部分開通しました。第二次世界大戦中は不急路線としてレールを供出し、終戦後の昭和22年に再開します。鉄道は、信楽焼の火鉢を中心とした陶器製品の輸送に欠かせませんでした。ところが、平成3年には無理な運行と人為的判断ミスにより、死者42名という大事故が起こります。その後、上下分離方式によって運行を再開しました。現在も地域の重要な交通インフラとして活躍しつつ、ラッピング列車、イベント列車が人気を呼んでいます。
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2020年11月号
株式会社マルヨシ近江茶
芳香たたえる琥珀の滴
古くは「あけぼの茶」とも呼ばれ、東海道を行き交う人々に親しまれた土山茶。摘採前の7~10日間、木を遮光幕で覆う「かぶせ茶」の生産が盛んです。そんな土山に、全国でもめずらしいほうじ茶の専門店があります。株式会社マルヨシが運営する「近江茶丸吉 焙じ茶茶房 焙楽」。ここでは、茶師の最高位十段をもつ吉永健司さん(代表取締役)が、五感で選び抜いたブレンドほうじ茶を製茶・販売しています。その数は、定番だけで実に10種。十番の「秋冬ほうじ茶」から、「一番 最高級土山ほうじ茶」までがあり、一番ごとに3~4種類の茶葉をブレンドするというこだわりよう。ほうじ茶のスイーツも人気で、県外からも多くの人が訪れています。
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2021年11月号
障害者多機能型事業所やまなみ工房
ありのままの個性
甲南町に広がる森の一角にある、やまなみ工房。広大な敷地内に、アトリエ、ギャラリー、スタジオ、ライブハウス、カフェがあり、それらを取り囲むように独立型のアトリエ群が配置されています。古くは一般的な障害者多機能型事業所と同じで、障がい者が単価10円に満たない軽作業をする施設でした。ある時、利用者の一人が楽しそうに絵を描く様子を見かけた施設長の山下完和さん。本人が望まない単純作業に疑問を持ち、当時ではめずらしい障がい者アートへの取り組みを始めました。現在は90名以上の利用者がいて、1日に線を数本だけ引く人、粘土でひたすら地蔵をつくり続ける人など、多様なアートが展開され、アール・ブリュットの先進施設として世界から注目されています。
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2022年6月号
tao living design
植物と暮らす愉しみ
信楽町勅旨で3代にわたり陶器の卸・小売業を営む店。地元信楽の窯元6社の陶器のほか、若手作家10人のモダンな陶器が並びます。店では信楽焼を使った山野草の植え替えワークショップなども開催しており、植物の植え替えに適した6月に取材を実施しました。店の一角には手のひらサイズの鉢が並び、すでに植え付けた鉢も販売しています。店内にはカフェも併設されています。スペシャルティを含むオーガニックのコーヒー生豆4種から選ぶと、陶器で焙煎し、めずらしいリネンフィルターで抽出してもらえます。予約制のベトナム風サンド「バインミー」は2種類があり、自家製ビネガーソースの味わいを楽しむことができます。
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2022年10月号
花香と焙煎香をまとう新感覚のほうじ茶
土山一晩ほうじ
滋賀県で栽培される茶のうち、実に7割もの生産量を誇る土山町。しかし、他の大規模産地に比べて後発で、収穫量も少ないため、ネームバリューにおいては水をあけられていました。茶の国内消費量の減少も相まって、昔は300軒あった茶農家も、いまでは100軒(うち専業40軒)へと減少していました。衰退した産地に新しい活気をもたらそうと、2018年にほうじ茶づくりのプロジェクトが始まります。4年がかりで試行錯誤を重ね、2022年9月に「土山一晩ほうじ」として販売が始まりました。収穫した茶葉を一晩寝かせる「萎凋」と、茶商それぞれの焙煎によって、異なる味わいを持つ複数のほうじ茶が誕生しました。現在、ブランディングイメージの確立と販路の拡大を目指しています。
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2022年11月号
甲賀市大原地域 山と人の温もりをつないで
標高800メートルの那須ヶ原山のふもとに位置する大原地域。ここで切り出されたスギやヒノキは東大寺の建設に使われるなど、古くから良質な木材の産地として名を馳せてきました。ところが、近代に入ってからの生活様式の変化や輸入木材の流通によって、地域の林業は衰退し、いつしか所有者不明の土地が点在するようになりました。そんな中、地域の高齢者が中心となって、山の保全をめざした取り組みが始まります。地域に製材屋がないため建材として販売することは難しい中、近年のアウトドアブームに乗って薪の生産を開始。事業は数年かけて軌道に乗りました。その収益は、木を供出した土地の持ち主に地域通貨「モリ券」として支給するなど、地域の経済を動かす試みもスタートし、子どもたちに木の温もりを伝えるイベントなどを実施しています。
編集室コメント
滋賀県南部に位置する湖南市と甲賀市は、琵琶湖に面しておらず、四方を山に囲まれた地域です。湖南市には国宝を有する三つの寺院「湖南三山」があり、新緑や紅葉のシーズンには多くの観光客でにぎわいます。また、甲賀市の南には日本六古窯に数えられる信楽焼の産地があり、2019年にNHK連続テレビ小説『スカーレット』の舞台として注目されました。甲賀市は茶の産地としても知られており、信楽地域(朝宮茶)と土山地域(土山茶)を合わせて県産茶葉の9割を生産しています。町の中心には東海道が走り、山間地域はローカル線の信楽高原鐵道が結んでいます。
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